米航空宇宙企業ロケット・ラボが、衛星電話の老舗イリジウムを約80億ドル(約1.3兆円)で買収すると伝えられています。スペースXが圧倒的な優位を誇る衛星通信市場に、新たな大型プレーヤーが本格参入する動きであり、宇宙ビジネスの勢力図を読み解くうえで見逃せないニュースです。
何が起きたのか
東洋経済オンラインが2026年6月30日に伝えたところによると、米ロケット・ラボが衛星通信の老舗であるイリジウムを約80億ドルで買収します。ロケット・ラボはロケット打ち上げ事業で知られる航空宇宙企業で、今回の買収によって「打ち上げ」から「衛星通信サービス」までを一気通貫で手がける体制を整える狙いがあるとみられます。
イリジウムは衛星電話の分野で長年実績を持つ企業として知られています。今回の買収は、その通信インフラとロケット・ラボの宇宙輸送能力を組み合わせる戦略的な動きと位置づけられます。
狙いは「垂直統合」と「D2D分野」
今回の買収のポイントは大きく2つあると伝えられています。
ひとつはビジネスの垂直統合です。ロケットの打ち上げから衛星の運用、通信サービスの提供までを自社グループ内で完結させることで、コスト競争力やサービス展開のスピードを高めることが期待されます。
もうひとつがD2D(ダイレクト・トゥ・デバイス)分野への参入です。D2Dは、専用の機器を介さずスマートフォンなどの端末が直接衛星と通信できる技術領域を指します。この分野はスペースXをはじめとするプレーヤーがしのぎを削る成長領域であり、ロケット・ラボはイリジウムの資産を活用して参入を狙うとみられます。
スペースXへの対抗という構図
衛星通信市場では、スペースXが圧倒的な優位を誇っているとされています。今回のロケット・ラボによるイリジウム買収は、この一強状態に対抗する動きとして注目されます。
打ち上げ能力を持つ企業が通信サービス事業者を取り込むことで、業界では「垂直統合型」の競争モデルが強まる可能性があります。1.3兆円規模という買収額の大きさからも、ロケット・ラボがこの市場に本気で挑む姿勢がうかがえます。
まとめ
- 米ロケット・ラボが衛星電話の老舗イリジウムを約80億ドル(約1.3兆円)で買収すると伝えられた
- 狙いは「打ち上げから通信まで」の垂直統合と、成長分野であるD2Dへの参入
- スペースXが優位を誇る衛星通信市場への本格的な対抗策と位置づけられる
宇宙ビジネスは打ち上げだけでなく「通信サービス」へと競争の軸が移りつつあります。今回の大型買収は、その流れを象徴する動きとして、今後の市場動向を考えるうえで押さえておきたいニュースです。