小児がん治療薬が採算割れ|11医薬品で供給不安、学会が国に対策要望
小児がんの治療に欠かせない医薬品が、将来使えなくなる懸念が浮上しています。1社のみが製造する11の医薬品が、国の薬価引き下げなどによって採算割れの状態に陥っていることが、製薬会社への取材で明らかになりました。子どもの命に関わる重要な問題として、医療現場や学会から国の対応を求める声が高まっています。
11医薬品で採算割れ、供給不安が深刻に
今回問題となっているのは、小児がんの治療で欠かせない11の医薬品です。これらはいずれも1社しか製造していない「独占的」な医薬品であり、代替が効きにくいという特徴があります。
製薬会社への取材によると、国が定める薬の価格である「薬価」の引き下げなどにより、製造コストに見合った利益が得られず、採算が取れない状態になっているとのことです。採算割れが続けば、製薬会社が製造の継続を断念する可能性も否定できず、今後の安定供給に不安が生じているとみられます。
これまで当たり前に使えていた治療薬が、ある日突然手に入らなくなる――そうした懸念が現実味を帯びていることに、関係者は危機感を募らせています。
なぜ採算割れが起きるのか
医薬品の価格である薬価は、国によって定期的に見直され、引き下げられる傾向があります。これは医療費の抑制を目的とした制度ですが、一方で製薬会社の収益を圧迫する要因にもなっています。
特に小児がんは患者数が比較的少ないため、医薬品の販売量も限られます。販売量が少なければ1つあたりのコスト負担が大きくなり、薬価が引き下げられると利益を確保することが一段と難しくなります。
さらに、製造を担うのが1社のみという状況では、その会社が製造を続けられなくなった場合、ただちに供給が途絶えるリスクがあります。患者数の少なさと独占的な製造体制が、採算割れの背景にあるとみられます。
学会が国に対策を要望
こうした事態を受け、医師らで作る学会は、国に対して対策を求めています。小児がんの治療薬は子どもの命を守るために不可欠であり、安定供給の確保は喫緊の課題です。
採算割れの医薬品に対しては、薬価を一定程度引き上げる仕組みや、製造を支援する制度など、供給を維持するための環境整備が必要と考えられます。患者やその家族が安心して治療を受けられるよう、制度面での見直しが求められている状況です。
まとめ
小児がん治療に欠かせない11の医薬品が、薬価引き下げなどによって採算割れに陥り、供給不安が生じています。患者数の少なさや1社のみが製造する独占体制が背景にあるとみられ、学会は国に対策を求めています。子どもの命に直結する重要な問題として、安定供給を維持するための制度づくりが今後の焦点となりそうです。