7月10日、東京大の研究チームが、特定の相手を嫌いになる脳の仕組みをマウス実験で解明したと伝えられました。光を使って神経細胞の活動を操作する「光遺伝学」という技術を用い、嫌う感情の生成と消去に成功したとのことです。感情という目に見えない働きを科学的に操作できる可能性を示した点で、注目を集めそうな研究です。
どんな研究なのか
今回の研究は、東京大の研究チームがマウスを使って行ったものです。「特定の相手を嫌いになる」という感情が、脳のどのような仕組みで生まれるのかを調べました。
その結果、光の刺激によって神経細胞の活動をコントロールする「光遺伝学(オプトジェネティクス:光に反応するたんぱく質を細胞に組み込み、光を当てて神経の働きを操作する手法)」を使い、マウスが相手を嫌う感情を生み出したり、逆に消したりすることに成功したと報告されています。
この成果は、米国の科学誌「Science(サイエンス)」で7月10日に報告されるとのことです。
なぜ重要なのか
感情は、これまで主観的で捉えにくいものとされてきました。今回の研究は、「嫌い」という感情が脳の特定の神経活動と結びついていることを、実験を通じて具体的に示した点に意義があるとみられます。
研究チームは、この仕組みの解明が「うつ病治療」への応用につながる可能性に期待していると伝えられています。うつ病では、気分や感情のコントロールがうまくいかなくなることが知られています。感情を生み出す神経の仕組みが分かれば、将来的に治療法の開発に役立つ可能性があると考えられます。
ただし、今回の成果はあくまでマウスを対象とした基礎研究の段階です。人間の治療に直接応用できるかどうかは、今後さらなる研究が必要とみられます。
光遺伝学という技術
今回使われた「光遺伝学」は、光を当てることで特定の神経細胞のオン・オフを切り替える技術です。従来の薬による方法と比べ、狙った神経細胞をピンポイントで、しかも速いタイミングで操作できる点が特徴とされています。
この技術は近年、脳や神経の研究で広く使われるようになっています。今回、感情の生成と消去という繊細な働きを操作できたことは、脳研究における一つの進展といえそうです。
まとめ
- 7月10日、東京大の研究チームが「相手を嫌いになる脳の仕組み」をマウス実験で解明したと伝えられた
- 「光遺伝学」の技術を使い、嫌う感情の生成と消去に成功したとされる
- 成果は米科学誌Scienceで報告され、うつ病治療への応用が期待されている
- ただし現時点ではマウスによる基礎研究の段階であり、人への応用には今後の研究が必要とみられる
感情という捉えどころのないテーマに科学がどこまで迫れるのか、今後の研究の進展が注目されます。