7月16日、AI企業のThinking Machines Labが、新たなAIモデル「Inkling(インクリング)」を発表しました。約1兆パラメーターという大規模な構造を持ちながら、モデルの重み(学習結果を示す数値データ)が公開される「オープンウェイトモデル」である点が特徴です。用途に合わせた追加学習のしやすさを重視した設計で、AI開発の裾野を広げる可能性があるとして注目されています。
Inklingとはどんなモデルか
Thinking Machines Labによると、Inklingは文章だけでなく、画像や音声も扱える「マルチモーダル」対応のAIモデルです。パラメーターとは、AIが物事を判断する際の基準となる無数の調整値のことで、一般的にこの数が多いほど複雑な処理に対応しやすいとされます。Inklingは約1兆パラメーターという規模を持つと発表されています。
さらに、コーディング(プログラム作成)にも対応するとされ、文章生成や画像・音声の理解など、幅広い用途を1つのモデルでカバーできる点が売りとなっています。
「オープンウェイト」であることの意味
今回のInklingで特に注目されるのが、モデルの重みが公開される「オープンウェイトモデル」という点です。
AIモデルには、内部の仕組みや学習結果を外部に公開しない「クローズド型」と、重みなどを公開して誰でも利用・改変できる「オープン型」があります。オープンウェイトモデルは、企業や研究者が自分たちの目的に合わせてモデルを追加学習させたり、細かく調整したりしやすいという利点があるとされます。
Thinking Machines Labは、こうした「用途に合わせた追加学習」を重視する設計思想を打ち出していると伝えられています。
計算量を調整できる仕組み
Inklingのもう一つの特徴として、思考に使う計算量を調整できる機能が挙げられています。
AIが回答を出す際には、内部で多くの計算処理が行われます。計算量を増やせばより丁寧な処理が期待できる一方、時間やコストがかかる傾向があります。Inklingでは、この計算量をユーザー側で調整できるとされており、簡単な処理は軽く、複雑な処理は重くといった使い分けが可能になるとみられます。
こうした柔軟性は、限られた計算資源で運用したい開発現場にとって選択肢を広げるものといえそうです。
まとめ
7月16日にThinking Machines Labが発表したAIモデル「Inkling」は、約1兆パラメーターの規模を持ち、画像・音声・コーディングに対応するマルチモーダルなオープンウェイトモデルです。用途別の追加学習や計算量の調整ができる点が特徴として挙げられています。
オープンウェイトモデルは、開発の自由度が高い一方で、その扱い方をめぐってはさまざまな議論もあります。今後、こうしたモデルが実際にどのような場面で活用されていくのか、動向が注目されます。
(本記事は公開時点の発表情報に基づいており、詳細な性能や利用条件については今後の続報が待たれます。)