鋼鉄の2倍の強度「耐火ハイエントロピー合金」新手法で作製、金属づくりを変える可能性

7月19日、オーストラリア・モナシュ大学や中国・重慶大学などの研究チームが、原子の並びを制御する新たな方法によって、鋼鉄の2倍・アルミニウムの3倍の強度を持つ「耐火ハイエントロピー合金」の作製に成功したと報告しました。合金は航空機から日用品まで幅広く使われる材料であり、その作り方に関わる今回の成果は、今後の金属製造に影響を与える可能性があるとして注目されています。

そもそも「合金」とは何か

合金とは、2種類以上の金属(または金属と非金属)を混ぜ合わせて作られる材料のことです。鉄に炭素などを加えた鋼鉄(スチール)や、アルミニウムをベースにした軽量合金などが代表例で、私たちの身の回りの航空機、自動車、建材、食器まで、幅広い製品に利用されています。

単体の金属よりも強度や耐熱性を高められるため、合金は現代社会を支える基盤材料のひとつとされています。

「耐火ハイエントロピー合金」とは

今回作製されたのは「耐火ハイエントロピー合金」と呼ばれる種類の材料です。

ハイエントロピー合金とは、従来のように1種類の金属を主成分にするのではなく、複数の金属をほぼ同じ割合で混ぜ合わせて作る合金を指します。「耐火」は高温に耐える性質を意味します。

研究チームは、原子の並びを制御する新たな方法を用いることで、この合金を作製したと報告しています。モナシュ大学はこの耐火ハイエントロピー合金を「世界初の『超合金(super alloy)』」と呼んでいると伝えられています。

報告されている強度

研究チームの報告によれば、今回の合金は次のような強度を持つとされています。

  • 鋼鉄(スチール)の約2倍の強度
  • アルミニウムの約3倍の強度

強度が高い材料は、同じ性能をより少ない量で実現できる可能性があり、製品の軽量化や耐久性の向上につながると考えられます。ただし、実際の製品への応用や量産化に向けた具体的なスケジュールについては、今回の報告の範囲では明示されていません。

なぜ「金属の作り方を変える可能性」なのか

今回の成果で特に注目されているのは、単に強い材料ができたことだけではなく、「原子の並びを制御する新たな方法」という作製手法そのものです。

材料の性質は、内部の原子がどのように並んでいるかによって大きく左右されます。その並びを制御できる新しい手法が確立されれば、今後さまざまな金属の設計・製造に応用できる可能性があるとみられます。この点が「今後の金属の作り方を変える可能性」として取り上げられている理由です。

まとめ

  • 7月19日、モナシュ大学や重慶大学などの研究チームが、鋼鉄の2倍・アルミニウムの3倍の強度を持つ「耐火ハイエントロピー合金」の作製を報告した。
  • 原子の並びを制御する新たな方法が用いられ、モナシュ大学はこれを「世界初の超合金」と呼んでいると伝えられている。
  • 手法自体が今後の金属製造に応用できる可能性がある一方、実用化や量産化の具体的な時期については現時点で示されていない。

材料科学は、航空・自動車・エネルギーなど幅広い分野の技術革新を支える基盤です。強度と耐熱性を両立する新しい合金の研究は、今後も注目していきたいテーマといえるでしょう。