西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火により炭化した古代ローマの巻物が、物理的に広げることなく1巻丸ごと解読されることに成功しました。AIとデジタル技術が考古学にもたらした、画期的な成果として注目を集めています。
古代ローマ都市を襲った悲劇と「読めない宝物」
西暦79年、イタリア・ナポリ近郊にあるヴェスヴィオ火山が大噴火を起こし、ポンペイやヘルクラネウムといった古代ローマの都市が一夜にして壊滅しました。火砕流や火山灰によって街全体が埋もれてしまったこの出来事は、世界史上最も有名な災害の一つとして知られています。
ヘルクラネウムの遺跡からは、当時の人々の暮らしを伝える数多くの遺物が発掘されてきました。その中でも貴重なのが、パピルスでできた古代の巻物です。しかし、これらの巻物は高温で炭化し、真っ黒に焦げた状態で発見されたため、物理的に広げようとすると崩れてしまうという大きな課題を抱えていました。
「広げずに読む」を可能にしたデジタル技術
今回報告されたのは、こうした炭化した巻物を物理的に広げることなく、1巻丸ごと解読することに成功したという快挙です。
このプロジェクトでは、巻物をX線などでスキャンして内部構造を立体的に把握し、巻かれた状態のままパピルスの層を仮想的に「展開」する技術が使われたとみられています。さらに、炭化したインクと紙の微妙な違いを識別し、文字を浮かび上がらせるためにAIや機械学習が活用されました。
従来は、巻物のごく一部の単語を読み取るだけでも大きなニュースとなっていました。それが今回、1巻全体を読み解くところまで到達したことは、研究の進展を示す大きな一歩だと言えます。
失われた古代文献がよみがえる可能性
ヘルクラネウムの遺跡には、まだ解読されていない炭化した巻物が数多く残されているとされています。今回の技術が確立されれば、これまで読むことが不可能だった古代の文献が次々と現代によみがえる可能性があります。
哲学や文学、歴史に関する未知のテキストが含まれているかもしれず、古代ローマ研究にとって計り知れない価値を持つとみられます。物理的に触れることなく内容を確認できるため、貴重な遺物を破損させるリスクを抑えられる点も大きな利点です。
まとめ
西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火で炭化した古代ローマの巻物を、広げることなく1巻丸ごと解読する成功は、AIとデジタル技術が考古学に新たな道を切り開いたことを示しています。これまで「読めない宝物」だった数々の巻物が解読されれば、古代の知識や文化への理解が大きく深まることが期待されます。2026年現在、最先端技術と歴史研究が融合する今後の進展に、引き続き注目が集まりそうです。