9月2日、製造業における経営改善の考え方を紹介する記事がダイヤモンド・オンラインに掲載された。海外移転しても赤字が続く企業の事例から、多くの製造業に共通する課題が浮き彫りになった。
30秒でわかるポイント
- 海外に拠点を移したある日本の製造企業が、移転後も何年も赤字から抜け出せない状態が続いていた
- 従業員1000人規模の工場に、原価低減に取り組む社員が1人もいなかった
- 経理部は財務集計のみを行い、「決算していれば大丈夫」という考え方の危うさが指摘された
赤字が続く製造企業の実態
紹介された事例では、人件費の高騰を理由に海外へ拠点を移した日本の製造企業が取り上げられている。
移転後も業績は改善せず、赤字体質から抜け出せない状態が長期間続いていたという。
原因を調べたところ、1000人規模の工場でありながら、原価を減らす取り組みを行う社員が1人も存在しなかったことが判明した。
経理部は「スコアラー」に過ぎない
記事では、この企業の経理部が財務集計のみにとどまっていた点が問題視されている。
過去の結果を集計するだけの財務会計は、野球で例えるなら「スコアラー」の役割にすぎないと説明されている。
つまり、試合が終わった後の結果を記録するだけで、試合中の戦略立案には関与していないという意味だ。
「決算を行っていれば大丈夫」という考え方は非常に危険だと記事は指摘している。
トヨタ流原価マネジメントとの対比
本稿は、こうした赤字企業の実態を踏まえ、トヨタ流の原価マネジメントを中心に据えて解説している。
トヨタでは、原価を下げるための取り組みが現場レベルで日常的に行われていることが知られている。
記事では、儲からない会社に共通する12の弱点が紹介されているが、今回取り上げた事例はその一端を示すものといえる。
原価低減に取り組む人材の不在や、経理部門の役割が集計業務にとどまっている点は、多くの製造業が抱えうる課題として提示されている。
経営改善に求められる視点
この事例から見えてくるのは、決算業務と原価管理は本来別の役割を持つという点だ。
決算は過去の結果を数字にまとめる作業であり、原価管理は今後の利益を生み出すための先を見据えた活動である。
両者を混同し、決算さえ行っていれば経営管理は十分だと考えることが、赤字体質からの脱却を妨げる要因の一つになり得ると記事は示唆している。
まとめ
9月2日に紹介されたこの事例は、海外移転という対策だけでは赤字体質を解消できなかった製造企業の実態を伝えている。原価低減に取り組む社員の不在や、経理部門が集計業務にとどまっていた点は、多くの製造業にとって示唆に富む内容といえる。決算業務と原価管理を明確に区別し、現場レベルでの取り組みを強化することが、経営改善の鍵になると考えられる。
出典: ダイヤモンド・オンライン