7月4日、これまで注意欠如・多動症(ADHD)と関連付けられてきた「脳の発達の遅れ」が、実は男女による性差にすぎない可能性を示す研究結果が伝えられました。ADHDの原因をめぐる長年の定説に一石を投じる内容として注目されます。
そもそもADHDと脳の関係はどう考えられてきたのか
ADHDは、注意が続きにくかったり、落ち着きがなかったりといった特徴が現れる発達の状態を指します。子どもがなぜADHDを発症するのか、その原因は現在もはっきりとは分かっていません。
これまで有力とされてきた仮説の1つが、「脳の大脳皮質(脳の表面をおおう部分で、思考や判断などに関わる領域)の成熟が遅れることによって引き起こされる」という考え方です。つまり、脳の発達スピードが定型的な子どもより遅いことが、ADHDの背景にあるのではないか、という見方でした。
「発達の遅れ」は性差だった可能性
今回伝えられた研究は、この従来の仮説に異議を唱える内容です。長年ADHDと結び付けられてきた脳の発達の遅れが、実際にはADHD特有のものではなく、単なる男女の性差である可能性が示されたとされています。
背景として、ADHDは一般に男児で多く診断される傾向があることが知られています。もし脳の発達のペースにもともと男女差があるのであれば、「ADHDだから発達が遅れている」と見えていた現象が、実は「性別による発達の違い」を反映していただけ、という解釈が成り立つ余地があるということです。
なお、今回の情報は研究結果が公表されたという段階のものであり、ADHDの診断基準や治療の考え方が直ちに変わるものではないとみられます。研究の詳細な手法や対象については、元記事以上の情報は確認できていません。
なぜこの研究が注目されるのか
この研究が関心を集めるのは、ADHDの「原因」に関する定説を問い直す内容だからです。原因の理解が変われば、将来的には診断のあり方や、男女差をどう考慮するかといった議論にも影響しうると考えられます。
一方で、1つの研究結果だけで従来の仮説が完全に否定されるわけではありません。医学や脳科学の分野では、複数の研究による検証を重ねて評価が定まっていくのが一般的です。今後、他の研究者による追試や反論が出てくるかどうかも含めて、慎重に見ていく必要があります。
まとめ
- 7月4日、ADHDと関連付けられてきた「脳の発達の遅れ」が性差の可能性を示す研究が伝えられた
- 従来は大脳皮質の成熟の遅れがADHDの原因とする仮説が有力だった
- 今回の研究はその定説に異議を唱える内容だが、診断や治療が直ちに変わるものではない
科学の定説は、新しい研究によって少しずつ更新されていきます。1つの結果を鵜呑みにせず、今後の検証の積み重ねに注目していきたいテーマです。
本記事は公開時点の情報に基づいています。研究の詳細は出典元をご確認ください。