9月1日、英国の研究機関UK AI Security InstituteとAI企業Limbic AIの研究者らが、AIによる人生相談に関する論文を発表した。約6000人を対象にした調査で、日常の悩みをAIに相談した人の多くが助言通りに行動する一方、精神的な健康状態には改善が見られなかったことが明らかになった。
30秒でわかるポイント
- 英国の研究機関とAI企業の研究者らが、AIへの人生相談に関する調査結果を発表
- 調査対象者の約8割が、AIから受けた助言通りに行動していた
- 助言に従って行動しても、幸福度の向上にはつながらなかった
どんな調査だったのか
この研究は、UK AI Security InstituteとLimbic AIに所属する研究者らが共同でまとめたものだ。
論文のタイトルは「People readily follow personal advice from AI but it does not improve their well-being」(人はAIからの個人的な助言に素直に従うが、それは幸福度を向上させない)というものだ。
研究チームは、約6000人を対象に、日常的な悩みをAIに相談した際の行動と心理的な変化を調査した。具体的には、以下の2点に焦点を当てている。
- AIの助言通りに行動する人がどれくらいいるか
- その行動が精神的な健康にどう影響するか
約8割がAIの助言に従って行動
調査の結果、回答者の約8割がAIから受けた助言の通りに行動していたことが分かった。
これは、AIが提示するアドバイスに対して、多くの人が高い信頼感や納得感を持って受け入れている可能性を示す結果だといえる。
一方で、AIの助言にどの程度の正確性や妥当性があったかについて、今回の概要情報からは詳しい説明はない。あくまで「助言通りに行動したかどうか」を調べた調査である点には注意が必要だ。
行動しても幸福度は上がらなかった
注目すべきは、助言通りに行動した人々の間でも、幸福度の向上が確認されなかったという点だ。
つまり「AIの言う通りにしたのに、気持ちが楽にならなかった」というケースが多かったとみられる。
この結果は、AIによる助言が行動には影響を与えても、心理的な満足感や幸福感には直結しない可能性を示唆している。なぜこうした乖離が生じるのかについて、今回の概要では具体的な原因までは触れられていない。
AIとの付き合い方を考える材料に
近年、悩み相談や日常のちょっとした判断にAIを活用する人は増えている。今回の調査結果は、そうしたAI活用の実態と、その効果の限界を示すデータの一つといえるだろう。
AIの助言を参考にすること自体を否定するものではないが、行動と心の健康は必ずしも連動しないという点は、AIを利用する上で知っておいて損はない視点かもしれない。
まとめ
英国の研究機関とAI企業が発表した今回の調査では、AIに人生相談をした人の約8割が助言通りに行動していた一方、幸福度の向上にはつながらなかったことが分かった。AIが行動を後押しする力を持つ一方で、心の満足感まで支えられるかは別問題であることを示す結果といえる。今後、AIとどう付き合っていくかを考える上で、参考になる調査結果だ。
出典: ITmedia NEWS