2026年7月29日、大阪府が中学生向けに実施している「チャレンジテスト」について、教育測定学の専門家が制度上の課題を指摘する内容が、書籍『テストと学力 何を測るのか、どう測るのか』(岩波書店)からの抜粋記事としてダイヤモンド・オンラインに掲載された。
30秒でわかるポイント
- 大阪府の「チャレンジテスト」は、生徒の学力測定と、高校入試で使う内申点の妥当性を判断する資料という2つの役割を担っている
- 教育測定学の専門家が、1つのテストに複数の目的を持たせる運用に疑問を呈している
- テストの結果が高校入試の内申点評価にも影響する仕組みであることが背景にある
チャレンジテストとは何か
大阪府教育委員会が実施している「チャレンジテスト」は、中学生の学力状況を把握するためのテストとして位置づけられている。
しかし、このテストにはもう一つの役割がある。各中学校が生徒に付ける内申点が、地域や学校によって偏りすぎていないかを確認する材料としても使われているという。
つまり、1回のテスト結果が「生徒個人の学力を測る」ことと「学校ごとの評価の妥当性をチェックする」ことの両方に使われている構造になっている。
専門家が指摘する問題点
書籍の抜粋記事の中で、教育測定学の専門家は、1つのテストに複数の役割を持たせる運用について疑問を投げかけている。
テストは本来、何を測定するために設計されたかによって、適切な使い方が変わってくるとされる。学力を測る目的で作られたテストを、学校間の評価調整という別の目的にも転用することには、測定学的な観点から慎重な検討が必要だという立場が示されている。
こうした運用が、結果として高校入試における内申点の扱いにも影響を及ぼしている点が、記事内では焦点として取り上げられている。
制度導入の背景にも目を向ける必要がある
一方で、こうした仕組みが導入された背景には、学校ごとの内申点評価のばらつきを是正したいという行政側の意図があったとみられる。
内申点は教員の主観的な評価が入り込みやすく、学校間で基準にばらつきが生じることは以前から指摘されてきた課題でもある。チャレンジテストのような共通の物差しを用いることで、評価の公平性を高めようとする狙いがあったと考えられる。
つまり、テストの二重利用には、公平性を担保したいという目的と、測定学的な妥当性という観点の両方があり、単純にどちらが正しいと言い切れる話ではない。
今後注目したい視点
今回の指摘は、大阪府に限らず、全国の自治体が学力調査や内申点評価の仕組みを設計する際にも参考になる論点を含んでいる。
テストの結果をどこまで、どのような目的で活用するのかについては、教育測定学の専門的な知見を踏まえた制度設計が求められる場面が今後も出てくるとみられる。
まとめ
大阪府のチャレンジテストは、生徒の学力測定と内申点評価の妥当性チェックという2つの役割を担う仕組みだが、教育測定学の専門家からはこの運用に対する疑問が示されている。一方で、内申点評価の公平性を高めたいという制度導入の背景も存在しており、単純な善悪では語れない論点だといえる。今後、他の自治体でも同様のテスト運用のあり方が議論される可能性がある。
出典: ダイヤモンド・オンライン